Trope

Anthracite

Volume Responsive Fuzz

¥25,199

ギターを持ち替えると音が変わる。ワウが効かない。サウンドや操作感にバリエーションがほしい。特別なスイッチャーが必要。

ファズを使う上での不都合は全て個性や相性問題として片付けられてきました。Anthracite はそれらに向き合い、現代のシステムにも摩擦無く組み込めるよう開発されたアナログファズです。

アスファルトの上に置いた Anthracite v1.0 を真上から見たところ。黒い筐体にアルミのつまみ 4 個(Volume / Fuzz / Bass / Treble)、トグルスイッチ 3 個(Bias / Response / Input)、フットスイッチが並ぶ
Anthracite v1.0

01 — Input

ギターとワウに合わせる

天面パネルのトグルスイッチ 3 つ。左から Bias(Skew / Offset / Center)、Response(Gradual / Medium / Steep)、Input(Wah / Hum / Single)と刻まれている
左から Bias、Response、Input。 どれも 3 ポジションで、MIDI からも切り替えが可能(04 参照)。

ファズの入力インピーダンスは数 kΩ から十数 kΩ と、ピックアップにとって重い負荷になっています。これにより、ピックアップの特性次第でファズのかかり方が変化し、ギターを持ち替えると全く別の使い勝手になってしまうことがあります。

ワウの後ろに置くとワウの効きが弱くなるのも、同じ負荷の問題です。ワウはインダクタと容量の共振で音を作っていて、後ろの機器の入力インピーダンスが低いと、その共振が抑え込まれます。

Input はこの負荷を前段に合わせて選ぶスイッチです。Single 約 13 kΩ、Hum 約 24 kΩ、Wah 約 44 kΩ(いずれも @1 kHz)であり、それぞれの出力特性に合わせて最適化しています。Anthracite は繋ぐ相手を選びません。

02 — Response

ボリューム追従性を選ぶ

ファズの特徴としてボリューム追従性が挙げられます。既存のファズペダルは変えられないことがほとんどですが、Anthracite は変えられます。Response はボリューム追従性の強弱を選ぶためのスイッチで、Gradual はなだらかに、Steep は急に歪みが抜ける設計です。

Gradual Medium Steep

Response 3 ポジションの入力レベル対歪み率。歪みが立ち上がる入力レベルが Gradual 0.032 Vpp、Steep 0.136 Vpp と 4 倍以上ずれている Gradual: 0.252% at 0.01 to 67.286% at 1; Medium: 0.14% at 0.01 to 59.703% at 1; Steep: 0.047% at 0.01 to 48.371% at 1 0.01 0.02 0.05 0.1 0.2 0.5 1 Input level (Vpp) 0 10 20 30 40 50 60 70 THD (%) Steep stays clean 4x longer
「どこで」「どれくらい歪むか」を選べる。 Response のポジション別の入力レベル対歪み率。Gradual は小さな入力でも歪み始め、Steep は高いヘッドルームを確保することで、楽曲やプレイスタイルに合わせた追従性を得ることが可能(LTspice シミュレーション)。

03 — Bias

歪み方を選ぶ

Bias は出力側トランジスタの動作点の非対称さを 1:1 / 2:1 / 3:1 から選ぶスイッチであり、動作点をずらすほど、利得は下がりますが、非対称性により偶数次倍音が強くなります。弾いた印象では、Center から離すほど高域のチリチリした感触が増えます。Center はゲインブースターとして、Skew はビンテージファズのエッセンスを加えたサウンドを作るのに役立ちます。

H2 H3 H4 H5

Bias スイッチの位置ごとの高調波レベルを比べた棒グラフ H2: -16.6698 dBc, -12.7467 dBc, -9.4756 dBc, -9.4373 dBc; H3: -11.81 dBc, -15.5058 dBc, -24.4415 dBc, -24.665 dBc; H4: -19.1416 dBc, -19.7432 dBc, -24.1686 dBc, -24.2342 dBc; H5: -21.224 dBc, -33.2565 dBc, -30.5963 dBc, -30.6155 dBc -40 -30 -20 -10 0 Harmonic level (dBc) Center Offset Skew X-Skew Bias
Bias スイッチのポジション別の高調波レベル。 非対称性が強くなるほど、偶数次の割合が増加(400 Hz、入力 0.1 Vpp、Fuzz 50 %)。

04 — MIDI

デジタルシステムに組み込む

ビンテージファズは信号経路の先頭に固定する必要があります。既存の機種のほとんどはリモート制御に対応しておらず、スイッチャーを使う場合はハイインピーダンス対応の専用のループが必要になります。Anthracite はオン / バイパスと 3 つのトグルを MIDI CC で切り替えられるので、それらの制約はありません。パネルでも、MIDI でも、両者を行き来しながら柔軟な制御が可能です。

デジタル部基板の接写。右側に MIDI IN / MIDI OUT / LATCH のシルクと MIDI-Learn のボタン、左下に制御用のマイコン、右端に電源レールの LED が並ぶ
制御基板。 フットスイッチ、トグル、MIDI、拡張スイッチからの様々な入力に対しても、柔軟で直感的な制御を実現。

05 — Disclosure

その他の特徴

既存のビンテージ系ファズとは異なる設計思想の製品であることをご理解ください。

電池では動かない 消費電流が約 70 mA あり、9 V センターマイナスで 200 mA 以上出せる AC アダプターかパワーサプライが必要です。強力なノイズフィルタを搭載しているため、スイッチング電源でも安心してお使いいただけます
ゲルマニウムではない 入手性と個体差の大きさから、シリコントランジスタを選びました。同じ設計で同じ音が出ることを優先しています

回路図、基板データ、筐体の図面、ファームウェア、部品表を公開しています。修理にも改造にも自作にもお使いいただけます(ハードウェア CERN-OHL-S v2、ファームウェア GPL v3、ドキュメント CC BY-SA 4.0。Trope、Anthracite、山本回路設計の名称とロゴは商標で、上のライセンスに含みません)。

Anthracite の top 基板(アナログ部)の回路図
アナログ部(top 基板)の回路図。 KiCad プロジェクトごと GitHub にて公開。

全数出荷試験を行い、その個体の検査成績書を同梱します。

06 — Specifications

仕様と購入

サウンドサンプル
形式 ギター用アナログ・ファズペダル
コントロール Volume / Fuzz / Bass / Treble(つまみ)、Bias / Response / Input(3 ポジション・トグル)
切替方式 アナログスイッチによる電子式切替(機械接点なし)
小信号利得(ファズ段) 約 39 〜 65 dB(Fuzz 0 〜 100 %)
入力インピーダンス エフェクトオン時 約 13 〜 44 kΩ(Input の位置による、@1 kHz)/バイパス時 約 1 MΩ
出力インピーダンス 約 1 kΩ(@1 kHz)
バイパス特性 利得 −0.13 dB、THD 0.03 %、低域 −3 dB 点 13 Hz
残留ノイズ 約 2.1 µV 以下(−111.3 dBu 以下。バイパス時、A 特性、20 Hz 〜 20 kHz、測定系の雑音を含む)
端子 6.35 mm フォーン IN / OUT(モノラル)、MIDI IN・MIDI OUT / 拡張スイッチ入力(3.5 mm TRS、MIDI Type-A)
電源 DC 9 V、5.5 / 2.1 mm センターマイナス、AC アダプター専用(別売)
動作電圧 8.4 〜 11.5 V(推奨 8.6 〜 10.0 V)
消費電流 約 70 mA(実測 67 〜 74 mA)
寸法・質量 W 73.5 × H 57.5 × D 128.0 mm、268 g
付属品 取扱説明書、出荷検査成績書
保証 購入日から 6 か月。通常の使用での故障は無償修理(送料は往路お客様負担/復路当方負担)
価格 25,199 円(初期ロット)

価格はロット毎に改訂いたします。原価の内訳と価格の算出方法は docs.trope-oshw.org にて公開予定です。

当方は消費税の免税事業者のため、消費税はいただいておりません。適格請求書(インボイス)は発行いたしかねます。